| わざわざ二度の仕込みをして焼酎に |
| 同じ鹿児島県でも、奄美諸島で造られるのは、黒糖焼酎。かつて日本一の長寿であった 泉重千代さんが、毎晩、晩酌に飲んでいた酒である。
奄美諸島では、昔から黒糖(黒砂糖)が作られていたが、薩摩藩は黒糖が藩の重要な財源 であったため、黒糖焼酎の製造は禁止されていた。 しかし、第二次大戦中に食料の輸送が途絶えたため、黒糖を原料として焼酎が造られはじめ たのが、黒糖焼酎の始まり。その後、昭和28年に奄美諸島に限定して、黒糖焼酎の生産が特 例として認められた。 なぜ、黒糖焼酎は特例になったのかといえば、それは原料の問題である。原料の黒糖は砂糖 だから、そのまま水に溶かせばすぐ酵母がアルコールに変えてくれる。つまり、わぎわざもろみを造らなくてもよいわけだ。ラム酒とまったく同じ。それでは本格焼酎とはいえなくなってしまう。 ラム酒のようなスピリッツと本格焼酎では、酒税の額がまったく異なってくる。当時でスピリッ ツとなれば、本格焼酎の四倍もの酒税がかかることになる。 そこで、焼酎にするために、わざわざ米麹と水を使い、 一次仕込みでもろみを造って、二次仕込みでさつまいもを加えるように黒糖を加えて発酵させると いう製造方法をとることになった。 黒糖焼酎は、奄美大島、徳之島「沖永良部島、与論島などで造られ、健康によい酒として注目を浴びた。黒糖焼酎の原料であるサトウキビは、糖分が最高になる二月から収穫が始まる。同じ黒糖 を原料としていても、ラム酒と比ベると、黒糖酒は黒麹を使って仕込んでいるため、雑菌の活動が 抑えられ、不純物が少ないという特徴がある。 |
| 甘い香りとインパクトの強さが特徴 |
| 永く島酒として愛されてきた黒糖焼酎が注目され るようになったきっかけは91年、町田 酒造の ”里の曙” のヒットから。最新設
備の工場で徹底した品質管理のもと、黒糖焼酎には珍しい減圧蒸留を実現し優し い口当たりでスイスイ飲める黒糖焼酎のおいしさに開眼した人たちが、こぞって
黒糖焼酎を買い求めた。 これが刺激となり、ほかの蔵元も品質の高い焼酎造りに邁進する。 黒糖焼酎の旨味を引 き出すため、それぞれ、甕仕込み、常圧 蒸留、黒麹、長期熟成にこだわる蔵が増えてきている。 |